書店に積み上げられた漫画雑誌。付録が楽しみだった=1968(昭和43)年、本社所蔵写真

書店に積み上げられた漫画雑誌。付録が楽しみだった=1968(昭和43)年、本社所蔵写真

 山積みになった月刊の漫画雑誌。懐かしい「冒険王」「少年ブック」などの誌名が表紙に踊る。どれもかなり分厚い。付録を挟み込んでいるためである。

 漫画雑誌の付録の始まりは大正期の「少年倶楽部」に付いた戦艦三笠の組み立て模型とされる。付録は戦前の子どもたちを熱狂させたが、戦争でその流れは中断する。

 戦後まもなく復刊した漫画雑誌は50年代に付録付きとなり、新たな創刊もあって競争が激化した。付録はどんどん豪華になり、国鉄の雑誌輸送規定(重量)に抵触するほどまでに過熱した。

 勢いは70年代まで続いた。写真はそのまっただ中の1968(昭和43)年に徳島市内の書店で撮影されたもの。発売日には、積み上げられた雑誌の山が見る見る低くなっていったという。

 しかし漫画雑誌の週刊化によって、付録よりも連載漫画の成り行きに子どもたちの興味が移行。付録主体の雑誌は次々と廃刊に追い込まれた。

 今、人気の大人向けの付録付き雑誌は、付録付き漫画雑誌で育った世代をターゲットにしているといわれる。原体験の根強さを物語る。